皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「だが、なぜ私はそのような夢を……」
リオネルは顎に手を添え思案した。
ダリルによれば、リオネルが見た夢は何百年も昔に実際起こった出来事。それがどうして夢として出てくるのか見当もつかない。
「これは私の勝手な解釈ではありますが」
ダリルはそう前置きをして続けた。
「陛下は転生されたのです」
「転生?」
「マティアスの生まれ変わりです」
「なにを馬鹿げたことを」
リオネルは一笑に付したが、ダリルは真顔を崩さない。眉毛の一本でさえ動かさず、真剣そのものだ。
(私がマティアスの生まれ変わりだと? そんな話を信じろと言うのか。輪廻転生の話は珍しいものではない。だがそれは、死への恐怖を回避するために人が生み出した思想のひとつに過ぎないはずだ。ましてや、前世の記憶を持って生まれるなど考えられない。事実、そのような人間に私は会ったことがないのだから)
リオネルは真っ向から否定したが、はたと思い留まる。
リオネルは顎に手を添え思案した。
ダリルによれば、リオネルが見た夢は何百年も昔に実際起こった出来事。それがどうして夢として出てくるのか見当もつかない。
「これは私の勝手な解釈ではありますが」
ダリルはそう前置きをして続けた。
「陛下は転生されたのです」
「転生?」
「マティアスの生まれ変わりです」
「なにを馬鹿げたことを」
リオネルは一笑に付したが、ダリルは真顔を崩さない。眉毛の一本でさえ動かさず、真剣そのものだ。
(私がマティアスの生まれ変わりだと? そんな話を信じろと言うのか。輪廻転生の話は珍しいものではない。だがそれは、死への恐怖を回避するために人が生み出した思想のひとつに過ぎないはずだ。ましてや、前世の記憶を持って生まれるなど考えられない。事実、そのような人間に私は会ったことがないのだから)
リオネルは真っ向から否定したが、はたと思い留まる。