皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
ここに、前世の記憶をもった人間が、いる。
それは衝撃的な事実だった。
リオネルが幼いときから知っているダリルが、思慮深く聡明な彼が、嘘をつくとは思えない。リオネルを騙して得しようと考えるような人間でもない。
ダリルは肩を上げ下げしておどけた表情を浮かべた。
「転生前は……」
「魔石加工師でした」
リオネルの疑問を言い当て、ダリルが先んじる。
「おそらく一〇〇年ほど前の、こことは違う国でしたな」
そんな彼がこの国の魔石研究者として名高いのは、前世の流れからなのか。
「いつか私のような人間と会いたいと願っていましたが、まさかそれが陛下だとは……。感無量ですぞ。なにしろ陛下がお生まれになったときから〝もしや〟と考えていたのですから。そこに透明の魔石を持つエリーヌ殿が現れた。遠い昔にここにだけ記録されている、歴史書からは抹消されたふたりなのではないかと胸が高鳴りましたよ」
「ダリルは、夢として見るのではなく、はっきりと記憶としてあるのか」
それは衝撃的な事実だった。
リオネルが幼いときから知っているダリルが、思慮深く聡明な彼が、嘘をつくとは思えない。リオネルを騙して得しようと考えるような人間でもない。
ダリルは肩を上げ下げしておどけた表情を浮かべた。
「転生前は……」
「魔石加工師でした」
リオネルの疑問を言い当て、ダリルが先んじる。
「おそらく一〇〇年ほど前の、こことは違う国でしたな」
そんな彼がこの国の魔石研究者として名高いのは、前世の流れからなのか。
「いつか私のような人間と会いたいと願っていましたが、まさかそれが陛下だとは……。感無量ですぞ。なにしろ陛下がお生まれになったときから〝もしや〟と考えていたのですから。そこに透明の魔石を持つエリーヌ殿が現れた。遠い昔にここにだけ記録されている、歴史書からは抹消されたふたりなのではないかと胸が高鳴りましたよ」
「ダリルは、夢として見るのではなく、はっきりと記憶としてあるのか」