皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
それもまたエリーヌが作ったものだからこそ、効力があるのではないか。単に香りの効果ではなく、エリーヌの祈りが込められているから。
そしてそれは聖なる魔力がなせる業である。
「なんにしましても、今日は陛下から夢の話を聞けて大変うれしく思いますよ。転生の記憶を持つ人が、こんなにも身近にいたとは、いやはや」
ダリルが唸りながらしみじみと呟く。
あの夢の話からファンタジックな展開になるとは予想もしていなかったリオネルも、ダリル同様に深い感銘を受けていた。
(エリーヌがミュリエルという確証はないが、遠い昔に引き離された相手だから現世で惹かれたのか?)
これまで女性に芋恋愛にも興味のなかったリオネルが、エリーヌに心を奪われたのはそのせいなのかと自分自身に質問を投げかけたそのとき、窓がコツンと音を立てた。
「エリーヌだ」
思わず口走り、ダリルにかまわず窓を急いで開け、ふわふわと舞う封書を手に取る。先ほどエリーヌに飛ばした文の返事だ。
すぐさま開封し、中をたしかめる。
そしてそれは聖なる魔力がなせる業である。
「なんにしましても、今日は陛下から夢の話を聞けて大変うれしく思いますよ。転生の記憶を持つ人が、こんなにも身近にいたとは、いやはや」
ダリルが唸りながらしみじみと呟く。
あの夢の話からファンタジックな展開になるとは予想もしていなかったリオネルも、ダリル同様に深い感銘を受けていた。
(エリーヌがミュリエルという確証はないが、遠い昔に引き離された相手だから現世で惹かれたのか?)
これまで女性に芋恋愛にも興味のなかったリオネルが、エリーヌに心を奪われたのはそのせいなのかと自分自身に質問を投げかけたそのとき、窓がコツンと音を立てた。
「エリーヌだ」
思わず口走り、ダリルにかまわず窓を急いで開け、ふわふわと舞う封書を手に取る。先ほどエリーヌに飛ばした文の返事だ。
すぐさま開封し、中をたしかめる。