皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
エドガーがエリーヌの左手首にはめられたバングルを指差す。革製のそれは、中央に透明の石が埋め込まれている。
一見するとただのガラス玉だが、魔力が封じ込められているのではないかと目される魔石である。
魔力を持つ人間は、この世に産まれるときにオーラに包まれた状態で誕生する。そしてそれは遺伝的な要素で決まり、魔力のない人の間に産まれる子どもは魔力を持たずに生を受ける。つまりオーラに包まれてはいない。
当然ながら、どちらかいっぽうでも魔力があれば、それが受け継がれる。
ところが両親はどちらも魔力のない人間だというのに、エリーヌはオーラを纏って誕生した。
それは極めて稀――そもそもそんな記録が残されていないため、オーラを石に込める魔石加工師の手配をしておらず、当時はその場に居合わせた者すべてが大わらわだったという。
一般の人間である夫婦から魔力持ちの子どもが誕生した驚きと、オーラが発現するのは二十四時間までとされるため、事前に手はずを整えておくのが通例だからだ。
オーラは加工師の手によって出生直後に石へと姿を変える。
中には突発的な出産で間に合わない例もあり、その場合は魔力が消滅してしまう。
そしてさらに不思議なことに、エリーヌのオーラは二十四時間が経過しても消えなかった。
「ダリル様がこの魔石を……」
一見するとただのガラス玉だが、魔力が封じ込められているのではないかと目される魔石である。
魔力を持つ人間は、この世に産まれるときにオーラに包まれた状態で誕生する。そしてそれは遺伝的な要素で決まり、魔力のない人の間に産まれる子どもは魔力を持たずに生を受ける。つまりオーラに包まれてはいない。
当然ながら、どちらかいっぽうでも魔力があれば、それが受け継がれる。
ところが両親はどちらも魔力のない人間だというのに、エリーヌはオーラを纏って誕生した。
それは極めて稀――そもそもそんな記録が残されていないため、オーラを石に込める魔石加工師の手配をしておらず、当時はその場に居合わせた者すべてが大わらわだったという。
一般の人間である夫婦から魔力持ちの子どもが誕生した驚きと、オーラが発現するのは二十四時間までとされるため、事前に手はずを整えておくのが通例だからだ。
オーラは加工師の手によって出生直後に石へと姿を変える。
中には突発的な出産で間に合わない例もあり、その場合は魔力が消滅してしまう。
そしてさらに不思議なことに、エリーヌのオーラは二十四時間が経過しても消えなかった。
「ダリル様がこの魔石を……」