皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか？

「あ、ですが私の見間違えかもしれません。今日はお天気がいいので太陽がよく反射したのでしょうね」


ダリルが瞳を輝かせたため、余計な期待を抱かせてしまったと後悔し、すぐに訂正の意味を込めて理由を連ねたが……。


「だが私もたしかにそう見えたがね」


エドガーも魔石が光ったと同意したため、ダリルは相好を崩した。


「なるほど、そうであったか。これは……」


ボソッと呟き、顎に手を添えて思案するように目線を彷徨わせる。


「……ダリル様？　どうかされましたか？」
「ああ、いや、気にしないでくれたまえ」


問いかけたエリーヌをハッとしたように見て、ダリルは手を顔の前で振って微笑んだ。


「ダリル殿、魔石はやはり光ったのでしょうかね。なにか意味でもあるのでは？」
「現時点ではまだなんとも。ところでエリーヌ殿、皇帝陛下とはどのようなお話を？」