皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
そういえばマーリシアにもよく言われたものだと思い出す。
癖毛の彼女は自分の髪があまり好きではないらしく、いつも『お姉様のような髪の毛がよかったのに』とこぼしていた。
エリーヌにしてみれば、くるんとカールした髪は女の子らしくてかわいいと思うのだが、お互いにないものねだりなのだろう。
「せっかくお綺麗ですから、今日は下ろしたままにしませんか?」
「アガットにお任せするわ」
「では顔回りはすっきりしたほうがいいと思うので、両サイドだけ緩くまとめますね」
アガットはそう決めると、手早く髪をセットしはじめた。侍女になって経験が浅いと聞いたが、手先が器用なのか手際がいい。
あっという間にセットは終わり、続きの間にある衣装部屋から選んだペールオレンジ色のドレスへの着替えも完了した。胸の下から切り替えが入り、ストンとしたシルエットはエレガントな雰囲気である。
「では参りましょうか」
「どちらへ?」
エリーヌをドアのほうへ促したアガットに尋ねる。昨夜、リオネルにはなんの予定も入っていないと聞いていた。
癖毛の彼女は自分の髪があまり好きではないらしく、いつも『お姉様のような髪の毛がよかったのに』とこぼしていた。
エリーヌにしてみれば、くるんとカールした髪は女の子らしくてかわいいと思うのだが、お互いにないものねだりなのだろう。
「せっかくお綺麗ですから、今日は下ろしたままにしませんか?」
「アガットにお任せするわ」
「では顔回りはすっきりしたほうがいいと思うので、両サイドだけ緩くまとめますね」
アガットはそう決めると、手早く髪をセットしはじめた。侍女になって経験が浅いと聞いたが、手先が器用なのか手際がいい。
あっという間にセットは終わり、続きの間にある衣装部屋から選んだペールオレンジ色のドレスへの着替えも完了した。胸の下から切り替えが入り、ストンとしたシルエットはエレガントな雰囲気である。
「では参りましょうか」
「どちらへ?」
エリーヌをドアのほうへ促したアガットに尋ねる。昨夜、リオネルにはなんの予定も入っていないと聞いていた。