皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「それにしても女嫌いという噂が立つほど結婚に消極的だった陛下が、こんなにあっさり結婚するとは驚きですよ」
ニコライが無遠慮に言い放つ。
ひとつ年下の二十五歳の彼は、リオネルの部下である前に幼馴染である。公爵を父に持つ彼とは教育を共に受け、剣術を学ぶのも一緒だった。
大戦中はリオネルが魔法騎士団を率いていたが、皇帝になったと同時にニコライに託した。魔力も剣の腕前も申し分ない男である。
「さてはパーティーで会ったときにひと目惚れしたんですね?」
目を細め、探るように見つめながらニコライがからかう。
パーティー会場では常にそばにいたため、彼はリオネルがエリーヌと話したのを知っている。
「どう思おうと勝手だが、事実と異なる吹聴はやめたほうが自分のためだと肝に銘じておけ」
魔法騎士団のトップとして有能だが、ニコライは口が軽いのが玉に瑕なのだ。信頼する側近であり幼馴染でありながら、彼に今回の結婚の真相を話さずにいるのもそのためである。
ニコライが無遠慮に言い放つ。
ひとつ年下の二十五歳の彼は、リオネルの部下である前に幼馴染である。公爵を父に持つ彼とは教育を共に受け、剣術を学ぶのも一緒だった。
大戦中はリオネルが魔法騎士団を率いていたが、皇帝になったと同時にニコライに託した。魔力も剣の腕前も申し分ない男である。
「さてはパーティーで会ったときにひと目惚れしたんですね?」
目を細め、探るように見つめながらニコライがからかう。
パーティー会場では常にそばにいたため、彼はリオネルがエリーヌと話したのを知っている。
「どう思おうと勝手だが、事実と異なる吹聴はやめたほうが自分のためだと肝に銘じておけ」
魔法騎士団のトップとして有能だが、ニコライは口が軽いのが玉に瑕なのだ。信頼する側近であり幼馴染でありながら、彼に今回の結婚の真相を話さずにいるのもそのためである。