皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「今、ニヤけました?」
「まさか」
そんなつもりはないが、無自覚に頬が緩んだか。
「昨夜のことでも思い返してましたね?」
さすがに調子に乗りすぎだろう。椅子から立ち上がり彼の頭をコツンと小突くと、ニコライは「イテッ」と大袈裟に痛がった。
「それはそうと、オスカー大公殿下はなにを考えておられるのでしょう」
おどけた表情を解き、ニコライが首を捻る。
「なんの話だ」
「妃殿下と宮殿をあとにするときに声をかけられたんです」
「大公殿下から?」
リオネルは不審そうに眉根を寄せた。
「ええ、妃殿下に『私が誰だかわかりませんか?』などと聞いていましたが」
「どういう意味だ」
「私にもわかりません。妃殿下もお会いになるのは初めてのようでしたし、不思議がっておいででした」
「まさか」
そんなつもりはないが、無自覚に頬が緩んだか。
「昨夜のことでも思い返してましたね?」
さすがに調子に乗りすぎだろう。椅子から立ち上がり彼の頭をコツンと小突くと、ニコライは「イテッ」と大袈裟に痛がった。
「それはそうと、オスカー大公殿下はなにを考えておられるのでしょう」
おどけた表情を解き、ニコライが首を捻る。
「なんの話だ」
「妃殿下と宮殿をあとにするときに声をかけられたんです」
「大公殿下から?」
リオネルは不審そうに眉根を寄せた。
「ええ、妃殿下に『私が誰だかわかりませんか?』などと聞いていましたが」
「どういう意味だ」
「私にもわかりません。妃殿下もお会いになるのは初めてのようでしたし、不思議がっておいででした」