皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「今すぐそちらへ行きます」
ミュリエルは階下のマティアスに告げ、急いで部屋を出た。
ペールブルーのナイトドレスを翻して階段を駆け下りる彼女の左手首には、透明の魔石がついたバングルが嵌められている。
見張りの目をかいくぐり、彼の元へ――。
「マティアス様!」
その胸に飛び込むと、彼はミュリエルを逞しい腕で抱き留めた。
「ミュリエル、会いたかった」
「私もです」
強く腕を巻き、互いの存在を確かめ合う。戦争さえなければ、こうして人目を忍んで会う必要などなかったのにとミュリエルは堪らなく悲しかった。
「マティアス様、血が!」
彼は手の甲に傷を負っていた。
「ああ、森を馬で駆け抜けてきたから、木の枝にでもあたったのだろう。このくらい平気だ」
ミュリエルは階下のマティアスに告げ、急いで部屋を出た。
ペールブルーのナイトドレスを翻して階段を駆け下りる彼女の左手首には、透明の魔石がついたバングルが嵌められている。
見張りの目をかいくぐり、彼の元へ――。
「マティアス様!」
その胸に飛び込むと、彼はミュリエルを逞しい腕で抱き留めた。
「ミュリエル、会いたかった」
「私もです」
強く腕を巻き、互いの存在を確かめ合う。戦争さえなければ、こうして人目を忍んで会う必要などなかったのにとミュリエルは堪らなく悲しかった。
「マティアス様、血が!」
彼は手の甲に傷を負っていた。
「ああ、森を馬で駆け抜けてきたから、木の枝にでもあたったのだろう。このくらい平気だ」