離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「千葉に言いつけるか?」

ソファに座った私を腕で拘束したまま、そんなことを聞いてくる。

「どうして千葉くんが出てくるんですか」

謎だ。意味がわからない。

「だってきみたち、付き合ってるんだろ?」

至極マジメな表情で大ボケをかます圭吾さん。私はあんぐりと口を開けた。

「それは違うって、前に言いませんでしたっけ? たしか、もつ鍋屋さんで」
「明確に否定はしていなかった」

そうだっけ。否定したつもりでいたんだけど。

違う。否定しようとしたら、お客さんが倒れて、タイミングを失ったんだ。

そういえばお寿司屋さんの帰りでも、千葉くんの話題が出た。

やたらと千葉くんを意識するなあと思っていたら、そういうことだったのか。

「違います。付き合っていません。付き合っている人がいるなら、他の人と契約結婚なんてできないでしょ」
「そうか、そうだな。七海はそういうことできるような人間じゃないか」

言われて初めて理解したみたいな顔をしている。

< 175 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop