離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~

第五章

体がだるい……。

まるで高熱が出たあとのような倦怠感に揺り起こされる。

なんとか瞼を開けると、目前に圭吾さんの寝顔があった。

長い睫毛。高い鼻が私の鼻先を掠める。

そして彼は、なにも着ていない。

「はっ‼」

驚いて出した声に気づき、圭吾さんの瞼が開く。

「おはよう」

どっどっどうして圭吾さんと一緒のベッドで寝ているんだっけ?

えっと……夜勤明けに変な車に尾行されて、怖かったから圭吾さんに迎えに来てもらって、そのあと……。

ゆっくりと頭が覚醒し、記憶がよみがえった。

そうだ。私、圭吾さんに抱かれてしまったんだ。

気づけば自分も裸だった。抱き合ったまま眠ってしまったらしい。

「酔った勢いで知らない男と一夜を共にした、みたいな顔してる」

圭吾さんは私の前髪を指先で弄ぶ。

顔が熱い。きっと、リンゴみたいに真っ赤になっていることだろう。

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