離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
どれくらい寝ていたのだろう。

「七海、起きて」

圭吾さんの声が聞こえ、ハッと目を覚ます。

もう家に着いたのか。

支払いを済ませた圭吾さんのあとに続いてタクシーから降りると、目の前に想像とは違う景色が広がった。

「あれ……?」

圭吾さんの自宅の何倍も大きな建物。高すぎて頂上が見えない。

自分が寝ぼけているのかと思い、目をこする。視界がはっきりしても、自宅は見えなかった。

代わりにそこにあるのは、誰でも名前を聞いたことがあるような有名ホテル。

私自身初めて見たけど、ロータリーの向こうに看板が見えるから間違いない。

アーチ形の入り口の向こうに眩しい世界が広がっている。

「今日はここに泊まろう」

いつまでも事態を把握できない私に、圭吾さんが囁く。

「ええっ! ここに?」

まったく聞いていなかったのでびっくりする。やっと目が覚めた。

圭吾さんはそんな私のリアクションに対して満足そうに微笑む。

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