離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「明日は休みだろう。たまには気分を変えるのもいいんじゃないかと思って」
「うわあ……」

手を引かれてエントランスに入ると、フロントのホテルマンが恭しく頭を下げた。

圭吾さんが名を名乗ると「お待ちいたしておりました」とスムーズにカードキーを渡される。

「もしかして、予約してくれたんですか?」

でなければ、今のやりとりの説明がつかない。

だから二次会を断ったのか。

「そう。こっちへおいで」

私はきょろきょろと周りを見回しながら彼のあとについていく。

足元の絨毯にヒールが取られる。

今日は飲み会だったので、自分の中ではきれいめな格好をしてきたつもりだ。

だけどこの高級ホテルの中では、自分がとても安っぽいものに感じた。

「ここで飲み直そう」

彼に連れていかれたのは、宿泊者が自由に使えるラウンジだった。

ガラス張りの窓から、眩しい夜景が一望できる。

「わあ、きれいですね」

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