離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
大人だからいちいち言わないだけだよね。

入籍したまま離婚の話は出ないし、このままでいいってことだよね……?

少しだけ不安になったけど、ムリヤリ気持ちを切り替え、私も立ち上がった。



予約されていた部屋をカードキーで明け、ドアを開け放つ。

「ひええ~」

私は初めてお殿様のお城を見た農民のような声を出してしまった。

すぐベッドとテレビがあるような庶民的な部屋しか知らない私にとって、そこは別世界だった。

「これっていわゆるスイートというお部屋ですか」
「そのようだね」

メインの部屋にたどり着く前に左右のドアを開け、浴室やクローゼットをまじまじと見学する私を見て、圭吾さんが笑っていた。

「さて、ここがメインですね」

ドアを開けると、広い部屋の壁際に大きなベッドがふたつ。

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