離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「英語で『結婚してください』って書いてあるんだよ」
「え……」

今、なんて。

身体をよじって背後の彼を見上げると、待っていましたとばかりに唇を奪われる。

「結婚してくれ。契約じゃなく、本当の結婚を」

今度は向かい合わせで抱きしめられる。

あまりに温かくて、涙腺が緩んだ。

「離婚しなくていいんですか?」
「ああ。絶対に離婚したくない」
「よかった」

どこかで不安だった。

彼みたいな人が私を選んでくれたなんて、やっぱり夢なのではないかと。

安藤さんのことがしっかり片付いたと確証が得られたら、離婚するのではないかと。

「それが返事?」

彼が背を丸め、私の目をのぞき込む。

もっと確実な言葉を望んでいることがわかる。

「……ありがとうございます。よろしくお願いします」

返事をした途端に、ぽろりと涙が溢れた。

「泣かなくていいんだよ」
「いいんです、これはうれし涙なので」
「そうかそうか」

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