離婚前提婚～冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます～
「ああ、あなたが病棟の笠原さんね」

オペ室の看護師さんは私を頭の上からつま先までじろりと一瞥する。

やっぱりみんな、圭吾さんの結婚相手がどんな人か気になるのだろう。

意外と普通だったので拍子抜けしたのか、気になっているけど時間が迫っているからか、オペ室ナースはムダな話はしなかった。

「見学ですよね。こちらへどうぞ」

主任さんが話を通してくれておいたからか、オペ室の看護師さんは私を見るなり、更衣室へ案内した。

制服の上に着るガウンや手袋を渡され、もたもたしている私を見かね、いろいろと指示してくれる。

「いつオペ室へ異動してもいいように、覚えておくといいわよ」
「はいっ」
「いい返事ね」

厳しい顔をしていたオペ室ナースは、そのとき初めて少し微笑んだ。

実際、夫婦が同じ部署にいるのはよくないので、私がオペ室に配属されることはそうそうないだろう。

じゃあ病棟ならいいかって話はおいておく。その判断は看護局がするので、私は従うしかない。

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