離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
ずっとオペだけをこなしていくのは、モチベーションを保つのが大変そう。

看護師の中には、ずーっと一日中内視鏡や手術器具を洗うだけの役割の人もいるという。

そういうのが合っている人はそれでいいけれど、私はもっと患者さんに関わりたい。

「そうか。たしかに七海は病棟に向いているな」
「圭吾さんはいずれは院長になるんですか? それとも経営側? それとも独立?」

ホールの扉はすりガラスのように外が見えないようになっている。外からも中は見えない。

誰かの影が通りすぎるたび、ドキドキする。

こんなところで私たちが話をしているなんて、誰も知らないんだ。

「そうだな……まだはっきりとは決めていないけど、俺は医者としてよりたくさんの患者さんを助けたい。それが目標」

少し考えてから、圭吾さんは真剣な顔で言った。

「目標って言うにはふわっとしすぎてるな。夢って言うほうがいいかもしれない」

圭吾さんの夢。

子供の頃からその夢を抱いてきたのかな。

神の領域に達するまで、どれだけの努力を必要としただろうか。

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