離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
暗くなった式場では、あちこちから食器の音が聞こえた。

招待客が食事をしながらのんびりスライドを見ている。

「笠原圭吾さん、四月十二日生まれ……」

司会の人が写真が切り替わるタイミングで説明を入れていく。

私たちふたりの赤ちゃんのときの写真が出てきたときは、それぞれに「かわいい~」と声が飛んだ。

残酷なのはここからだった。

名門幼稚園からエスカレーター式の高校、医学部と華麗な経歴を歩んできた圭吾さんは、どの写真を見ても美少年。着るものもお高いのが見てわかる。

そしていつも、品のよさそうな顔をしている。その辺にいるサルみたいな普通の男の子たちとは溢れ出る気品が違う。

それと比べて私は、赤ちゃん用品チェーン店の赤札価格で売っていた、謎のイチゴ柄やハート柄のカラフルな服を纏っていた。頭には百均のヘアアクセサリー。頬はいつも赤くかさかさしていて、鼻の舌がきらりと光っている。

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