離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
中学に入って制服を着たら少しはマシになるけど、とにかく全編通して貴族と庶民の生活格差が明確になってしまって少し悲しい。

じゃあもっといい写真を用意すればよかったじゃんと思われるだろうけど、ないものはしかたない。

お母さんはお父さんが亡くなってから、子育てと生活に追われていっぱいいっぱいだったのだ。

「これ、やっぱりやめればよかった」

ぽつりと呟くと、圭吾さんが敏感に反応する。

「どうして」
「だって、圭吾さんのキラキラ写真に対して、私の家の貧乏写真……見ている人たちが微妙な気持ちにならないかな」
「は?」

圭吾さんは振り返ってスクリーンを見上げる。

今はちょうど、小学生くらいのふたりが映し出されていた。

私は相変わらず鼻水垂らして、にそにそと笑っている。マラソン大会のときの写真だろう。

「かわいいけど。なんなら世界で一番かわいい」
「はいはい」

圭吾さんは、少し変わっているのだと思う。
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