離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
今まで周りに同じような生活レベルの子しかいなかったから、庶民が珍しいだけなんじゃ。人間がパンダを見るみたいに。

「花嫁がそんなに卑屈でどうする。そこのテーブル見てみな」

圭吾さんが指さしたテーブルには、私の学生時代の友達が座っている。

彼女たちは、どちらの姿が映っているときも同じ笑顔で座っていた。

「七海と付き合ったことがある人間は、七海のいいところをいっぱい知っている。だから、着るものが違うとかそんなこと、どうでもいいんだよ」

彼の優しい声音が胸に染みわたる。

それはそうだ。

私は私のまま、友達や同僚と関係を作ってきた。

ここにいる人たちは私が貧乏とか相手がお金持ちとかは関係ない。

ただ私たちの結婚を祝うために集まってくれたんだ。

「そうだね!」

恥じることなんてなにもない。

どんな夫婦だって、違う環境で育っているんだもの。

よそはよそ、うちはうち。ちょっと違うか。
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