離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
結婚休暇を終え、私たちは職場に復帰した。

本来職場結婚したスタッフ同士が同じ部署にいることはない。

看護師同士の結婚だと、もとは同じ病棟でも、どちらかが異動となる。

けれど私は、まだ循環器外科病棟に居続けている。

相手が医師で職種が違うので、一緒に病棟にいる時間が少ないから、異動を免除された。

陰で師長さんが、私のことを「春に異動してきたばかりだし、とてもよく働いてくれるからいなくなると困る」と看護局や人事に訴えかけてくれたらしい。

いろいろ迷惑をかけたのに、ありがたいことだ。

オペ室の看護師さんの中には私のことを「うまく笠原先生をたぶらかして玉の輿に乗った庶民女」とか悪口を言っている人もいるみたいだけど、そんなの気にしない。

私は胸を張って、圭吾さんの隣にいることにしたんだもの。

午前のラウンドを終えてナースステーションに戻ってくると、ちょうど圭吾さんがやってきた。

今日はシャツの上に白衣を纏っている。

私たちは目配せをし合うけど、言葉は交わさない。

病棟の人たちに気を遣わせないのが暗黙のルールだ。

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