離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
どんな理由があっても、普通は親しくもない女の人にいきなり触ったりはしない。

私たちが触られるのは、看護師だからだ。

看護師は怒らないし言うことを聞くだろうとなめているのだ。

「誰にやられたの。普通に気持ち悪いんだけど」

千葉くんがコンビニで大きなお弁当を選ぶ。私はパンとヨーグルトにした。

「患者の個人情報はここではちょっと」
「槇はほんとマジメだな。あんまりため込むなよ」

レジ待ちの列に並んでいると、入り口から笠原先生が入ってくるのが見えた。

ドクターもコンビニ使うんだ。毎日食堂で一番高くておいしいランチを食べているイメージだった。

なにを選ぶのかな? と見ていると、笠原先生はスティックパンの大袋とコーヒーをつかんでレジに並ぶ。

あのパン、院内コンビニのパンだったのか。

あまりにじっと見つめていたのか、列の最後尾についた先生と目が合ってしまった。

「せんせ……」

話しかけようとしたけど、先生はふいと目を逸らす。

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