離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
あ、そう。今は話しかけてほしくないときなのね。

先生の全身から、「俺は忙しいオーラ」が迸っている。いつも大変だなあ。

「槇、どした?」

声をかけられて前を見ると、いつの間にかレジがふたつ空いていた。

「ごめんなさい」

ぼーっとしていたら後ろの人たちを待たせてしまう。

私は慌てて会計を済ませた。

今日井上さんにされたことは、気にしないでおこう。うん。

それくらいで騒ぎ立てて、自意識過剰だと思われてもいけないしね。

モヤモヤをパンと一緒に胃に流し込み、午後からの仕事に精を出した。

さて、気持ちを切り替えて頑張ろうと次の日出勤して受け持ち表を見た私は、がっかりする。

また井上さんがついている。

嫌だなー嫌だなー、行きたくないなー。

でも誰かに代わってくださいなんて言えないし、行くしかない。

準備をして訪室すると、井上さんは早速昨日の話の続きをしはじめた。

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