離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
中には傷ついて悲しくて自分が悪いのかもと思い悩んで、本当に病気になっちゃう子だっているかもしれない。

どうしてそんなことがわからないんだろう。

肩をすくめる井上さんに、笠原先生はびしっと言い放つ。

「今後も続けるようなら、病院のルールに則って強制退院してもらうことになりますよ」
「え、そ、それだけは」

強制退院となれば、家族に理由を問われることは必死。

セクハラのことが奥さんにバレたら困るのだろう。井上さんの顔に狼狽の色が現れた。

「じゃあ、今後はやめてくれますね」
「は、はい」
「お大事に。槇、行くぞ」

笠原先生がずんずん進んでいくので、私は慌ててそれについて病室を出た。

井上さんはドアが閉まるまで自分のしたことを認めず、謝りもしなかった。最低最悪のオヤジだ。

病室から離れてナースステーションに戻る。
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