離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「変なの」

ディスプレイに表示された主治医の名前を指でつつく。

そこには「笠原圭吾」と笠原先生の名前。

整形外科の患者さんなのに、なぜ循環器外科の先生が主治医なのか。

疑問は募るが、考えてもわからない。

「まあいっか」

あとで誰かに聞こうっと。

私は午前のラウンドの最後に、特別室へ寄ることにした。


結局午前は他の受け持ち患者の検査出しなどで忙しく、誰かと雑談している余裕はなかった。

なんの情報もないまま、私は特別室のドアをノックした。

「失礼します」

同じ造りの特別室は全病棟にあるので、新鮮さは感じない。

消化器内科の特別室と同じ。

普通の個室よりも広く、浴室までついている。

クイーンサイズのベッドに横たわっているのは、若い女性だった。

カルテには三十二歳とあるが、二十代に見えなくもない。

手触りのよさそうなパジャマに、おろした髪はつやつやしていた。

顔はナチュラルメイクをしてあるようだ。黒目の大きな美人さん。


< 71 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop