離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「いないですよ」
「あら。かわいいから絶対にいると思った。千葉くんとか」
「いやいや。千葉はただの同期です」

千葉くんはいいやつだけど、今まで恋愛対象になったことがない。

じゃあ、彼氏にするならどんな人がいい?

ふと脳裏に笠原先生の顔が浮かんだ。

「好きな人は?」

先生の顔が浮かんだタイミングでそんなことを聞かれたものだから、私は手を滑らせ、血液の入った採血管を床に落としてしまった。

「あわわわ」

床が絨毯でよかった。採血管は無傷だった。

七海、冷静になれ。動揺しすぎ。

これじゃ笠原先生のことを好きだと認めているようなものだ。

先生には婚約者がいるというのに。

「ふふ。実るといいわね」
「は、はあ。では失礼します」

特にそれ以上やることもないので、挨拶して退室した。

うーん、どうみても健康体だったけどな。

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