離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
カルテを見返すと、安藤さんは三年前に交通事故に遭っていた。

そのときも皮膚の裂傷などはあったが、大きな骨折もなく、脳波の検査も異常なし。

すぐに退院となったが、それから数か月おきに事故後の検査入院をしてきている。

「不思議だなあ」

主治医の笠原先生は忙しいので、無駄を嫌う。

決して入院の必要のない人を入院させて金儲けしようとか、そういうことを考えるタイプではない。

じゃあ、いったいなんのために彼女は入院しているのか。

実は他に隠された病気があるとか?

廊下でワゴンに乗ったパソコンを見ていると、ラウンド中の先輩看護師ふたりが近寄ってきた。

「ねえ、槇さん特別室行った?」
「あの人名物患者なのよ」

二十代後半と、三十代前半の先輩看護師は、ひそひそと私を取り囲むようにして小さな声で話す。

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