離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「前に図書室で迷惑な人につきまとわれてるって話したよな」
「はい」
「その人こそ特別室の患者──安藤菜美恵だ。彼女は俺の兄の婚約者だった。三年前までは」
ぶほっと口の中に入れたものを噴射しそうになってしまった。
先生のお兄さんの婚約者。
お兄さんがいることも知らなかったけど、どうしてその婚約者さんが圭吾さんにつきまとっているの?
「婚約者って言っても本人同士が望んだわけじゃなくて、いわゆる政略結婚をさせられそうになっていたんだ」
「せいりゃくけっこん……」
普段聞いたことがないような言葉が飛び出してきた。
それって江戸時代までの話じゃないの? この現代にもまだそういうのがあるの?
私に縁がないだけで、医者の世界では普通なんだろうか。
「そう。彼女の両親が俺の兄と菜美恵の結婚を強く望んで、うちの両親も押し負けて、『まあいっか、損にはならないし結婚しておけば』みたいな雰囲気になっていて」
「ちなみに、彼女のご両親もお医者様なんですか?」
「医療機器のメーカーだよ。と言っても採血管とかそういうこまごましたものじゃなくて、内視鏡とかサイバーナイフとかMRIの装置とか、そういうものを扱っている」
「はい」
「その人こそ特別室の患者──安藤菜美恵だ。彼女は俺の兄の婚約者だった。三年前までは」
ぶほっと口の中に入れたものを噴射しそうになってしまった。
先生のお兄さんの婚約者。
お兄さんがいることも知らなかったけど、どうしてその婚約者さんが圭吾さんにつきまとっているの?
「婚約者って言っても本人同士が望んだわけじゃなくて、いわゆる政略結婚をさせられそうになっていたんだ」
「せいりゃくけっこん……」
普段聞いたことがないような言葉が飛び出してきた。
それって江戸時代までの話じゃないの? この現代にもまだそういうのがあるの?
私に縁がないだけで、医者の世界では普通なんだろうか。
「そう。彼女の両親が俺の兄と菜美恵の結婚を強く望んで、うちの両親も押し負けて、『まあいっか、損にはならないし結婚しておけば』みたいな雰囲気になっていて」
「ちなみに、彼女のご両親もお医者様なんですか?」
「医療機器のメーカーだよ。と言っても採血管とかそういうこまごましたものじゃなくて、内視鏡とかサイバーナイフとかMRIの装置とか、そういうものを扱っている」