Cotton Candy.
 いまだに綿谷さんや佐倉さんみたいにスマートに仕事はできないけど、綿谷さんに迷惑をかけてばかりだったあのころよりは、少しでも成長している、と、思いたい。

「みなみちゃん、なんでもすぐできるようになっちゃったから俺ぜんぜん必要なかったね。」
「…そんなこと、ないです。」

 急に褒めないでほしい。
 そしてそんなことはほんとうに、まったくといっていいほど、ない。

「なんとかなってるの、綿谷さんのおかげです。」

 彼のようになりたいと思った。
 根っから明るい彼みたいに、取引先のひとたちとフランクに話すことはできないけれど。
 小さな積み重ねで、信頼を得ている彼みたいに。
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