Cotton Candy.
 私が言葉の裏にそんな思いを隠して言うと、綿谷さんは少しだけ驚いた表情を浮かべた。

「そうかな。」
「そうです。」
「なんにもしてないよ、俺。」
「いっぱい迷惑かけました。」
「…ぜんぜん。」
「…綿谷さんみたいに、なりたくて。」

 そこまで言うと、彼の表情から大きなクエスチョンマークが読み取れる。
 コロコロと変わる表情からすぐに感情がわかってしまう、とても素直な、ひと。

 そんな彼につられてしまったのか、少しだけ飲んだお酒のせいか。
 ずっと言っていなかった私の密かな目標を、…憧れているという感情を、言葉にしてしまった。

 案の定、綿谷さんは困っているように見える。
 こんな私が、完璧な彼に、だなんて。
 無謀にも、ほどがあるよね。
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