Cotton Candy.
 ほら、ね。
 案の定綿谷さんはなんともないというふうに、チケットをこちらに差し出してくる。
 私は両の掌を彼に向けて、それをお断りした。

「ごめんなさい、気にしないでください。」

 いや、ほしいことはほしい。とても。喉から手が出るほど。
 でもそれは、綿谷さんの取引先の方が綿谷さんのために用意したものだ。
 いくら綿谷さんからの提案とはいえ、私が受け取ってしまうわけにはいかない。

 キャンセルが出ないか、またサイトとにらめっこしないと。
 …なんて、そんなことを考えている、と。

「じゃあ、」
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