Cotton Candy.
 頬を平手打ちされたときに似ている、その音に。
 近くで聞こえた、男のひとの声に。
 無意識に、足の力が抜ける。

 こわい、

「だいじょうぶ、」

 座り込んでしまったまま見上げると、こちらを気にかける表情を浮かべる綿谷さんと目が合った。
 大丈夫? たぶん、そう私に訊きたかったのだろう彼は、大きく目を見開く。

「みなみちゃん!?」
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