Cotton Candy.
「あのさ、」
「…あの、」

 もう大丈夫ですよ。
 そう言って、綿谷さんには仕事に戻ってもらうつもりだったのに。
 ほぼ同時に口を開いた綿谷さんと、言葉がかぶる。

 きょとんとした表情でこちらを見た綿谷さんが、ふわりとした笑顔を浮かべたあと私に続きを促した。

「…いえ、先どうぞ、」

 なにか用事があるなら聞いてしまおうと冷静になった頭で考えて、私は発言を隣の彼に譲る。
 大したことじゃないんだけど、と、綿谷さんはひとつ前置きをして話しはじめる。
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