冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて
「俺の家、予備の食器もなければ貸せる服もないから、好きなのカゴに入れてけ」
「え?」
呆然と立ち尽くす私について来いと合図を出した。私のために食器を選び出す橘さん。まさか、今晩の私のために購入してくれるんだろうか。
一晩しかいない私にそんな気を回してほしくない。
「橘さん、私、食器じゃなくて紙皿、紙コップ、割り箸で十分です。部屋着も着回していた洋服がありますし、購入しなくていいです!」
きっぱり断ると橘さんは首を横に振った。
「これから一緒に過ごすんだ。服はともかく、そんな物で飯食わせられるか。選ばないなら俺が選んでやる」
「……こ、これから、一緒にですか?」
「俺の家を出て行ったら、家には帰らずにまたネカフェなんだろ」
「……はい」
「家に帰りたくない理由は分からないけど、気が済むまで俺のところにいろ。俺も一人は心細かったし、相澤がいてくれたら助かる」
橘さんの言葉にぎゅうっと胸が締め付けられる。