冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて
もし結婚することができたら、『ただいま』と『おかえり』が当たり前になっていくんだろうな。そんなことを考えながら、一希さんに謝罪をする。
「一希さん、今日は母のことでご迷惑をお掛けしスミマセンでした……」
「いや、俺も親とのことはずっと気になってたから。むしろ今までなかなか聞けずに悪かった」
私が謝罪したと同時に、一希さんも私に謝罪をし返す。
「いえ、私なんかに謝らないでください。一希さんは悪くないです」
「謝らせて。とりあえずここじゃなんだから、入ってからお母さんと話したことを伝える」
「お夕飯もできてますので」
「ありがとう。頂こうかな」
今日の晩ご飯は鶏の照り焼きとスープとサラダだ。居候させてもらっている身として、最低限の家事はやり遂げたい。
食卓に付き、向かい合って一緒にご飯を食べる。
最初はご飯を食べるのも、一希さんが一緒だと思うと緊張して上手く喉を通らなかったけれど、一緒に住んでいると慣れてしまうもので、気にせず食べれるようになった。