冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて
「……うん、今日のご飯も美味しい。いつも作ってもらって申し訳ないな」
「いえ、お口に合ってよかったです。一希さんがお休みの日は作っていただけるので、これくらいさせてください」
「ありがとう。で、食べながらで申し訳ないけど、話していいかな」
「……は、はい」
手に持っていた箸を箸置きに置き、姿勢を正す。
「俺、詩織はお母さんから経済的DVに合ってたって思うんだ。自分が働いて得た報酬を親が搾取し、今まで必要最低限のお金しか与えてもらえなかったんだろ」
「……はい」
「色々調べたんだけど、法的に家族間で絶縁することはできないんだ。どれだけ縁を切りたいと思っていても、親子という関係性を断ち切ることはできない」
「では、どうすればいいんでしょう……」
「経済的DVは公的機関が運営しているDV相談プラスとかに相談すれば親身になってアドバイスをくれる。でも、お母さんが何かしてくることは、もうないと思う」
「……え?」
「これ以上詩織にお金のことで迫るようだったら法的に訴えるって言ってるから」
「それって……」
「経済DVの慰謝料の相場は50万から300万。これを支払ってもらえるように訴えるねって伝えたから」
経済的DV。初めて聞く言葉に呆然とする。
私一人じゃ全然知り得なかった。これからも当たり前のように母親に支払っていかなくてはいけないと思っていた。一瞬で母を黙らせてしまう一希さんはやっぱり凄い。