冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて
◆
「茶碗は俺が洗うから」と言う一希さんの言葉に甘えてお願いをし、
「あの、私……少し出掛けてきます」
少しの時間出ることを伝え家を出た。
近くのコンビニに向かい、自分の口座にある、お母さんに渡す予定だった給料とボーナスのお金を引き出す。一希さんには以前お金を頂いていた。それに、今までの生活費、私のために買っていただいた生活用品など、これだけでは足りないかもしれないけど、渡さなきゃ気が済まない。
持ってきていた白い封筒にお金を入れ、鞄に直す。
遅くまで開いているスイーツ屋さんで一希さんが好きそうなスイーツを複数購入し、一希さんの家へと戻った。
「あの……ただいま戻りました」
「……ん、お帰り」
茶碗を洗い終えた一希さんは、リビングのソファーに座りテレビを見ていた。そんな一希さんにさきほど買ったスイーツの箱を手渡す。
「これ、大したものじゃないですが今までのお礼です」
一希さんは「ありがとう。いただく」と、スイーツの箱を受け取ってくれた。
お金は手渡しで受け取ってくれるだろうか。いや、一希さんのことだ。受け取ってはくれないだろう。