冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて





 「茶碗は俺が洗うから」と言う一希さんの言葉に甘えてお願いをし、

「あの、私……少し出掛けてきます」

 少しの時間出ることを伝え家を出た。


 近くのコンビニに向かい、自分の口座にある、お母さんに渡す予定だった給料とボーナスのお金を引き出す。一希さんには以前お金を頂いていた。それに、今までの生活費、私のために買っていただいた生活用品など、これだけでは足りないかもしれないけど、渡さなきゃ気が済まない。


 持ってきていた白い封筒にお金を入れ、鞄に直す。

 遅くまで開いているスイーツ屋さんで一希さんが好きそうなスイーツを複数購入し、一希さんの家へと戻った。


「あの……ただいま戻りました」

「……ん、お帰り」


 茶碗を洗い終えた一希さんは、リビングのソファーに座りテレビを見ていた。そんな一希さんにさきほど買ったスイーツの箱を手渡す。

「これ、大したものじゃないですが今までのお礼です」


 一希さんは「ありがとう。いただく」と、スイーツの箱を受け取ってくれた。


 お金は手渡しで受け取ってくれるだろうか。いや、一希さんのことだ。受け取ってはくれないだろう。


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