冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて
「この子、今夜から住み込みで働けるから好きに使ってちょうだい」
躊躇なく発せられた母の言葉に耳を疑った。
「……働けるってなに? 私、仕事が……」
「あんな給料の低いところ、もう辞めるのよ。これからはお母さんが決めた仕事場に住み込みで働いてもらうから。たくさん稼げるわよ。なんたってアンタまだ若いしね。歳食う前にがんがん働いてもらわなきゃ」
目の前にいる母が母と思えなくて恐怖で手が震える。
逃げようにも、走ってる最中にドアを開けて飛び出したら、きっと後ろの車やバイクに敷かれて死んでしまう。
「……や、やめてよ。ちゃんと家に帰るから。お母さんにちゃんと生活費も渡すし、これまで通り家賃も光熱費も支払うから……だから、家に帰らせて……」
母の腕を摩りながら震える声で懇願する。けれど、母には私の声が聞こえていないとでもいうような目をされた。
その目を見て、私はもう家に帰ることはできないんだと思った。
「私が家を飛び出したから……お母さんは私を住み込みで働かせるの?」
「そうよ。それ以外にないでしょ」
「何をさせるの……」
「夜の仕事に決まってるでしょ。アンタどうせ男性経験少ないんだから、世の男性にたくさん可愛がってもらいなさい」