冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて



「お母さん、もし私が結婚したらどうするの」


 私の給料を搾り取っていく母に、ふと、疑問を投げかけた。


 彼氏がいないイコール年齢のため、結婚なんてあるわけないけれど、私が結婚したら母はどうするのかとても気になった。


 すると母は私を見て「アンタ彼氏いるの?」でも言いたげな表情をして鼻で笑った。私はどちらかというと、母似ではなく父似だ。けれど、お父さんも決して悪い見た目ではない。


 離婚したとはいえ、メンクイの母が結婚相手に選んだ相手なのだから、顔もそれなりに整っているし、私の友人からも『お父さんかっこよくていいな』と羨ましがられる。ただ、家庭を持つ気がない私が、付き合う意味を見いだせなかった。ただ、それだけだ。


 なのに、母は『モテないくせに何を言っているの』とでも言わんばかりに彼氏いないでしょ」と、問いかけられた。


 ここで彼氏がいないと言ってしまえば、私の今後の人生も母に捧げることになる。死ぬまで一生母の奴隷だ。そんなのはもう勘弁してほしい。


 もうあの時のように、『この場で死ぬ』と言われないのなら、こんな家さっさと出て行ってしまいたい。



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