冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて
「母のことはそうだろうなとは思っていましたが、父が……私、父に会えますか?」
私の問いに一希さんは大きく頷いた。
「会えるよ。ここに来る前警察にも通報したし、パトカーがそろそろ着く頃じゃないかな」
一希さんの言葉通り、パトカーの音が街中に響いた。一希さんは車を少し動かし、近くの有料駐車場へと車を停めた。
「ここで様子を見ようか」
「……はい」
お母さんは捕まるのだろうか。お父さんは大丈夫なんだろうか。不安がよぎる中、一希さんに謝罪をする。
「私一人で決めつけて、一人で突っ走って……スミマセンでした……母は私を夜の街に売ろうと考えていたみたいで、もう帰れないかもしれないと思うと怖くてたまらなかったです……」
「本当に無事で良かったよ。もしあの運転手が俺が用意した人じゃなかったら、詩織、今頃本当にヤバイよ」
「――っ、はい……ごめんなさい……私、一希さんに迷惑かけたくなくて……私は一希さんのこと、お店で働き始めた頃から好きでしたけど、一希さんはそうじゃないって思ったら胸が痛くて……」
謝罪ついでに自分の想いをぶつけてしまった。