冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて
「ご、ごめんなさい。今のは忘れて下さい!」
「なんで? 俺、嬉しいよ。好きだって言ってもらえて」
「――っ、一希さんモテるじゃないですか! 好きって言われ慣れてるでしょう」
「そんなことないって言ったら嘘になるけど……あ、ちょっとまって。詩織のお父さんから電話だ」
私のお父さんからの通話を受けた一希さん。
「はい、はい……今から行きます」
一言二言、父と話すと通話を終えた。
「お父さんとお母さん、近くの交番にいるらしい。事情聴取で来てほしいって」
「……分かりました」
車から降り、一希さんと歩いて交番へ向かう。到着すると、私を睨みつける母と申し訳無さそうな顔をする父がいた。
8年ぶりに見る父は全然変わっていなかった。
「相澤詩織さん、かな。お母さんからネグレクトを受けてるんだって?」
ネグレクト。それだけじゃない。
母から受けたこれまでの経緯を全て警察に話をする。父は涙を流しながら私の話を聞いていた。