冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて
◆4.最愛な人と一緒に


 そう言うとお父さんは頭を抱え「私は情けないな」と、落ち込んでいた。


「お父さんはこれからもお母さんに仕送りしていくの?」


 そう問いかけると、お父さんは「いや」と首を横に振った。


「今まではお母さんが詩織といたから、詩織のために振り込んでいた。けれど、こうなってしまった以上、もうお母さんを金銭的に助けることはないな……」


「そっか……ありがとう、お父さん」

「詩織のために振り込んでいたのに、結果的に全部お母さんが使っていたんじゃ意味ないな」


 お父さんもまた、私と同じく、お母さんから経済的DVを受けていたと言ってもおかしくない。


 私達の気まずい会話に、

「お父さん、詩織さんは今、僕の家にいてくれています」


 一希さんが割って入った。


「一希くんなら安心できるな」

「詩織さんが良ければ、これからも一緒に住みたいと考えてます。詩織さんを僕に下さい」


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