冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて
はめてくれた指輪を眺めていると、一希さんは私の顎を指で促し、視線が重なり合うが、一希さんは私の側からそっと離れた。
寝室へと向かい、
「詩織、こっちにおいで」
甘く、心地良い声が脳みそに直接届く。
こんな風に優しい声音で呼ばれたのは初めてだった。
今、私の目の前にいる一希さんは、頬を赤く染め、色っぽい目で私を見つめながら、ベッドの上にポンポンと手を添えた。
一希さんに腰を触られ、促されるようにベッドに倒れ込む。
ふわりと香る一希さんの匂いに心地よさを感じてしまうほど、時間が止まってほしいと願ってしまう。
男性経験がない私でも、今から行われる行為がどういうものかの予測はできた。まさか、こんな風に男性から求められる日がくるなんて思っていなかった。
私の上に覆いかぶさる一希さん。
頭を撫でたり頬にキスをしたりしている。その度に体の奥がゾワゾワと疼く。
こんなにかっこいい人に抱かれそうになっていることに、今はただ、泣きそうなくらい嬉しさしかない。
「嫌なら言ってね。でも、止められないかも」
ニッと笑う一希さんに今はただ溺れたくて、こくりと頷く。