冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて
翌日、仕事の朝礼で一希さんは半年後またニューヨークに異動になることを従業員のスタッフに伝えた。
「ええっ!? また異動になるんですか!」
「寂しいな」と言いながらもどことなく笑顔な川本くんに、一希さんは口角を上げた。
「お店のことは、よろしく頼むな、川本」
一希さんに任された川本くん。「はい! 俺、大学卒業してもここで働きます!」と、気合を入れていた。
「で、もう一つ報告がある」
一希さんはそう匂わせると、「こっちに来て」と私を呼んだ。すかさず一希さんの元へ向かい、一希さんの横に並んだ。
「俺と相澤は結婚することになった。半年後のニューヨークは相澤も俺と一緒に向かうこととなる」
皆の前でそう告げると、またしても一番初めに声をあげたのは川本くんだった。
「ええええっ!? お、俺……詩織さんのこと…………」
大声を出すと同時に、川本くんはへたへたとその場に座り込んでしまった。
…………川本くん。