プライベートレッスン
「なんか疲れたな・・・」
テレビを付けると有名な邦画が流れている。
小説からマンガ化、そしてTVドラマから映画になった作品だ。
まさに王道の売れ方をした作品だった。
「つまんねぇよ」
いつからだろう、金と時間をかけて作られた映画に嫉妬しなくなったのは。
昔の俺だったらもっと面白い脚本を書けると本気で思っていた。
あの頃は、何もない代わりに自信だけはあった。
「赤坂エリか・・・」
脚本を書けば書くほど薄っぺらになっていく現実に戸惑いながら留まる。
「どうして赤坂エリが俺の家にくるんだよ・・・まったく馬鹿だな」
自分のチープな妄想に嫌気が差す。
「夢か、だったらキスすりゃ良かったな」
夢にしては悪くはなかったけど。
彼女の顔を思い出しながらニヤケて眠りにつく。
今日は久しぶりによく眠れそうだ。


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