筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む

真面目ゴリラ

 止まってと全力でお願いする私の努力は虚しく、難なくドアまで辿り着いたブレイズ様はドアノブに手を伸ばした。

「止めてくれるな。好いた男にそのような態度を取られたローズの気持ちを、分からせてやらないと気が済まない」
「違います、私はレオン様なんて元々微塵も興味なくて! 今は心からブレイズ様をお慕いしているのです、信じてください!」

 正確にはブレイズ様の筋肉をお慕いしているが、大差ないだろう。
 そしてブレイズ様がドアノブに手を掛けるが。ドアノブはガッと鈍い音を立てるだけで……ドアは開かなかった。
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