筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
「仕方がない。ローズにはこれ以上醜い姿を見せたくは無かったのだが……この防御魔法陣を破るにはこれしか方法が無い、か」

 ポウッとブレイズ様の体が淡く白い光に包まれる。これは魔法の気配!?

「この姿を見ても、ローズの態度が変わらないでいて欲しい……なんて願いは傲慢だな。フンッ!」

 ――バリバリィッ!! とブレイズ様が上半身に纏っていたシャツが破れ弾け飛んだ。そして光が止み私の前に現れたのは――、

「嘘ぉ……」

 ――下半身にだけ元々の衣服を着けた、大きなゴリラだった。それ以外形容のしようがない。黒色のゴリラだ。

「あまりの醜さに絶句しただろう? 俺が使える唯一の魔法で、姿をゴリラに変えるだけで単純に能力アップを図る自己強化魔法だ。例えば腕力はおおよそ二倍になる」

 人間の時でも私の視線を捉えて離さなかった筋肉はゴリラになった事で更に増し、破け飛んだシャツと共に私の理性も吹き飛んだ。
 
 ――好き。唯一使える魔法で更に筋肉が増すなんて、どれだけ私の性癖にクリーンヒットすれば気が済むのだろうこの人は!

「このゴリラの力を持ってしても破れないとなると、諦めるしかないだろうな。――フンッ!」
 
 そしてドアに全力ゴリラパンチを喰らわせるブレイズ様だったが、相変わらず魔法陣に全ての威力を吸収されてしまう。
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