筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
予想外、規格外
パァンッ……パァンッ……という激しい音と、小さな地震のような揺れで私は目を覚ました。
窓から差し込む光が、夜が明けた事を示している。早く起きて怪我人の治療をしないと。……そう思いながら体を起こすが、辺りの風景の違いで思い出す。見るからに高級なバロック調の家具に、天蓋付きのベッド。
――そうだ。私は辺境伯ブレイズ・ウィルドハート様と婚約して……彼の屋敷に来たのだった。
(あれ? ブレイズ様は?)
結婚するまでは絶対に抱かないと言い切ったブレイズ様は、宣言通りその胸を私に貸してくれただけで。私は一晩筋肉を堪能しながら眠ることが出来た。おかげで幸せすぎてよく眠れたのだが、私の隣は既にもぬけの殻だ。もしや魔法で閉じられていたドアが開いたのだろうか?
「フンッ! ハッ!」
リズミカルな掛け声と、何かがぶつかるような激しい音。小刻みな振動の発生源を確認するために部屋を見渡すと。
――部屋の隅にある太い柱に向かって張り手を喰らわせる、上半身裸のブレイズ様がいた。半裸なのはシャツが木っ端微塵になったせいなので仕方が無い。
「あぁ、ローズ起きたのか。おはよう」
私の視線に気がついて爽やかに朝の挨拶をしてくれるのだが。
……何故、柱に張り手?
「おはようございますブレイズ様。どうして張り手をしているのかお伺いしても?」
「これか? 朝は欠かさず鍛錬を積んでいるのだが、なんせこの部屋から出られないから、柱相手に特訓だ。……こうでもしないと耐えられないからな」
何が耐えられないのかは不明だが、とにかく部屋から出られないのは困ったものである。私は昨晩のままの薄い夜着で、ベッドから床へと降り立った。そして部屋入り口のドアをコンコンと叩き、掛けられている魔法の強さを確認する。
窓から差し込む光が、夜が明けた事を示している。早く起きて怪我人の治療をしないと。……そう思いながら体を起こすが、辺りの風景の違いで思い出す。見るからに高級なバロック調の家具に、天蓋付きのベッド。
――そうだ。私は辺境伯ブレイズ・ウィルドハート様と婚約して……彼の屋敷に来たのだった。
(あれ? ブレイズ様は?)
結婚するまでは絶対に抱かないと言い切ったブレイズ様は、宣言通りその胸を私に貸してくれただけで。私は一晩筋肉を堪能しながら眠ることが出来た。おかげで幸せすぎてよく眠れたのだが、私の隣は既にもぬけの殻だ。もしや魔法で閉じられていたドアが開いたのだろうか?
「フンッ! ハッ!」
リズミカルな掛け声と、何かがぶつかるような激しい音。小刻みな振動の発生源を確認するために部屋を見渡すと。
――部屋の隅にある太い柱に向かって張り手を喰らわせる、上半身裸のブレイズ様がいた。半裸なのはシャツが木っ端微塵になったせいなので仕方が無い。
「あぁ、ローズ起きたのか。おはよう」
私の視線に気がついて爽やかに朝の挨拶をしてくれるのだが。
……何故、柱に張り手?
「おはようございますブレイズ様。どうして張り手をしているのかお伺いしても?」
「これか? 朝は欠かさず鍛錬を積んでいるのだが、なんせこの部屋から出られないから、柱相手に特訓だ。……こうでもしないと耐えられないからな」
何が耐えられないのかは不明だが、とにかく部屋から出られないのは困ったものである。私は昨晩のままの薄い夜着で、ベッドから床へと降り立った。そして部屋入り口のドアをコンコンと叩き、掛けられている魔法の強さを確認する。