筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
「全く……予想外、規格外ですよ!」
天井崩落事件を引き起こした後。私とブレイズ様はこのウィルドハート辺境伯領の家令だという『サイモン』という名の魔術師から説教を受けていた。
私の部屋周辺は使い物にならなくなってしまったので、ブレイズ様の執務室だという部屋に通された。私はソファーに座るように言われ夜着の上に羽織る毛布を貸して貰えたが、ブレイズ様は半裸だったのでシャツのみ支給され床に正座である。
「ドアから出られないのなら天井をぶち壊せば良いなんて脳筋の発想、誰が考えたのですか!?」
「すまない。悪気は無かったのだがローズの可愛さに耐えかねて、つい柱をへし折ってしまった」
「申し訳ございませんでした。魔法陣が殆どの威力を吸ってくれるつもりでかなり濃く強化魔法を掛けましたので、私のせいです」
まさかあの瞬間にブレイズ様が柱を叩くとは微塵も思っていなかったのだ。
「まぁローズ様は仕方がないでしょう。ただ今後、強化魔法の使い所には気を付けていただきたい。ブレイズ様は力の加減が出来ませんから」
外見年齢50歳程度で魔術師らしいヒョロっとした体型のサイモン様は、指をシュッと動かして私の前にだけ魔法で紅茶を出した。続いて、床に正座のブレイズ様にはタライをひっくり返したような水を浴びせる。水も滴る良い男……うん、良い筋肉。肌に張り付いたシャツから透ける筋肉を凝視してしまう。
「……おい、一応俺は辺境伯なのだが」
「私にとっては亡き旦那様が残した、手の掛かる坊っちゃんのままです。片想いを知っているからこそ御膳立てしてあげたのに……熱が籠っているようでしたから水はサービスですよ」
「うっ……許してくれ。憧れの赤薔薇の聖女が婚約者になった上、俺なんかに愛を囁いてくれただけでもうッ! 限界なんだッ!!」
嫌な予感がしたので継続して掛かっていたパワーアップの強化魔法を解除する。その瞬間、ブレイズ様は握りしめた拳を床に叩きつけた。ダンッ! と激しい音がしたが、床は壊れていない。
「ローズ様、完璧なタイミングでしたね。その調子でブレイズ様の手綱を握れるように頑張ってください」
「は、はい……」
何だろう……私、筋肉ムキムキ理想の婚約者を手に入れたはずなのに。猛獣使いになったような気分になってしまう。
天井崩落事件を引き起こした後。私とブレイズ様はこのウィルドハート辺境伯領の家令だという『サイモン』という名の魔術師から説教を受けていた。
私の部屋周辺は使い物にならなくなってしまったので、ブレイズ様の執務室だという部屋に通された。私はソファーに座るように言われ夜着の上に羽織る毛布を貸して貰えたが、ブレイズ様は半裸だったのでシャツのみ支給され床に正座である。
「ドアから出られないのなら天井をぶち壊せば良いなんて脳筋の発想、誰が考えたのですか!?」
「すまない。悪気は無かったのだがローズの可愛さに耐えかねて、つい柱をへし折ってしまった」
「申し訳ございませんでした。魔法陣が殆どの威力を吸ってくれるつもりでかなり濃く強化魔法を掛けましたので、私のせいです」
まさかあの瞬間にブレイズ様が柱を叩くとは微塵も思っていなかったのだ。
「まぁローズ様は仕方がないでしょう。ただ今後、強化魔法の使い所には気を付けていただきたい。ブレイズ様は力の加減が出来ませんから」
外見年齢50歳程度で魔術師らしいヒョロっとした体型のサイモン様は、指をシュッと動かして私の前にだけ魔法で紅茶を出した。続いて、床に正座のブレイズ様にはタライをひっくり返したような水を浴びせる。水も滴る良い男……うん、良い筋肉。肌に張り付いたシャツから透ける筋肉を凝視してしまう。
「……おい、一応俺は辺境伯なのだが」
「私にとっては亡き旦那様が残した、手の掛かる坊っちゃんのままです。片想いを知っているからこそ御膳立てしてあげたのに……熱が籠っているようでしたから水はサービスですよ」
「うっ……許してくれ。憧れの赤薔薇の聖女が婚約者になった上、俺なんかに愛を囁いてくれただけでもうッ! 限界なんだッ!!」
嫌な予感がしたので継続して掛かっていたパワーアップの強化魔法を解除する。その瞬間、ブレイズ様は握りしめた拳を床に叩きつけた。ダンッ! と激しい音がしたが、床は壊れていない。
「ローズ様、完璧なタイミングでしたね。その調子でブレイズ様の手綱を握れるように頑張ってください」
「は、はい……」
何だろう……私、筋肉ムキムキ理想の婚約者を手に入れたはずなのに。猛獣使いになったような気分になってしまう。