筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
そんな事を話して歩いているうちに、大きな両開きの扉の前に着いた。
「さて、こちらの食堂に軍所属の人間達を集めておりますので挨拶しに行きましょう。どうぞお入りになってください」
サイモン様がそのドアを押して開けると、中で席について居た人々の視線がバッとこちらに集まった。ざっと見ただけでも百人以上はいるだろうか。そんな中をサイモン様の後ろについて上手側へ向かって歩くと、皆がざわめき立つ。
「うわぁ、本当に赤薔薇の聖女だ」
「くそ……不可侵条約はどこにいったんだ」
ざわざわと皆が騒ぐが。サイモン様が軽く咳払いするとシーンと静かになった。
「皆静粛に。この度我らが辺境伯ブレイズ・ウィルドハート様と婚約されたローズ様だ。戦場の治癒院で世話になった者も多いだろう。覚えのある者は挙手したまえ」
ザッと七割ほどの人間が手を挙げる。
「え? そんなにいるの?」
「ウィルドハート軍は一部の兵を国に貸与しておりましたが、一年限りの入換制としてきました。五年間ずっとあちらにいたのはブレイズ様くらいで、他の者は入れ替わっているのです」
成る程、だから五年も治癒院にいたのになかなか皆の顔を覚えられない訳だ。私が筋肉ばかりを見ていたのが原因では無かったのかもしれない。
(あら? でも私、ずっと戦場にいたはずのブレイズ様も見覚えが無いわ)
「さて、こちらの食堂に軍所属の人間達を集めておりますので挨拶しに行きましょう。どうぞお入りになってください」
サイモン様がそのドアを押して開けると、中で席について居た人々の視線がバッとこちらに集まった。ざっと見ただけでも百人以上はいるだろうか。そんな中をサイモン様の後ろについて上手側へ向かって歩くと、皆がざわめき立つ。
「うわぁ、本当に赤薔薇の聖女だ」
「くそ……不可侵条約はどこにいったんだ」
ざわざわと皆が騒ぐが。サイモン様が軽く咳払いするとシーンと静かになった。
「皆静粛に。この度我らが辺境伯ブレイズ・ウィルドハート様と婚約されたローズ様だ。戦場の治癒院で世話になった者も多いだろう。覚えのある者は挙手したまえ」
ザッと七割ほどの人間が手を挙げる。
「え? そんなにいるの?」
「ウィルドハート軍は一部の兵を国に貸与しておりましたが、一年限りの入換制としてきました。五年間ずっとあちらにいたのはブレイズ様くらいで、他の者は入れ替わっているのです」
成る程、だから五年も治癒院にいたのになかなか皆の顔を覚えられない訳だ。私が筋肉ばかりを見ていたのが原因では無かったのかもしれない。
(あら? でも私、ずっと戦場にいたはずのブレイズ様も見覚えが無いわ)